INTER-MediatorのVMについては、Ver.8及びVer.5.12の配布を最終版とします。M1 Macの登場まではほとんどのPC環境がIntelだったので、Mac/Windowsで使えるVMが構築できましたが、M1の登場により共通にかつフリーで使えるVM環境が整わない状態となったので、VMの製作は行わないことにしました。今後は、『トライアル版の利用方法』で紹介するDocker等での方法で、INTER-Mediatorの試用等を行ってください。(2022-05-22)

はじめに

INTER-Mediatorの試用や学習用に、即座にサーバーとして利用できるVirtual Machine(VM)についての情報をこの文書に記載します。VMを自分で作成するか、あるいはすでに作成されているVMをダウンロードするかして利用できます。

このVirtual Machineは、特定のホスト内でのみ利用することを想定して、ログインアカウントなどを見える場所に記載しています。学習用に定義ファイルとページファイルをブラウザーで編集できる状態にしているため、Virtual Machineとして配布している「INTER-Mediator-Server VM」をそのままインターネットに公開することは絶対に行わないでください。

【中・上級者へのアドバイス:追記1】INTER-Mediator 5.7以降、モバイルアプリでよく使われる「ステップ動作」開発にも活用できる機能を拡張しています。以下の説明では「ホストオンリーネットワーク」でのVM使用を強く推奨していますが、それではモバイル端末での実機テストができません。
安全が確保された同一ネットワーク内でのみの利用を想定した「ブリッジネットワーク」接続を設定すれば、こうしたモバイル端末での動作確認を実機で行えます。以下、【追記1】として、これに関する設定方法を追記しています。ただし、その場合は既定のパスワードの変更、安全が確保されたLAN内での利用にとどめる、などの配慮に努めてください。(2018/04/07追記)

使用までの準備

VMは、VirtualBox用を提供します。アプリケーション形式のVirtualBoxを以下の方法で、ご自分のパソコンにインストールしておいてください。

VirtualBoxのインストール

Windows、Mac、Linux、Solarisで利用できるVirtual Machine実行環境の「VirtualBox」は、Oracle社が開発してフリーで配布しているものです。こちらのページより、ご利用のホストコンピュータに対応したVirtualBoxをダウンロードしてご利用ください。

INTER-Mediator-Server VMのダウンロード

INTER-Mediator-Server VMは以下のリンクよりダウンロードしてください。いずれも、Intelプラットフォーム向けのLinuxをベースにしているため、Intel版Mac、通常のWindowsでは稼働しますが、Apple M1チップ搭載Macでは稼働しません。Apple Silicon搭載Mac向けにはVirtualBoxが安定してから、あるいはDockerでの動作環境提供を開発中です。

VMの準備

VMをINTER-Mediatorに含まれているスクリプト等を利用して自分で生成する方法を「VMを自分で作成して起動する」に、一方、すでに誰かが作ったVMを利用する方法を「VMをダウンロードして利用する」に解説します。もちろん、いずれか一方の作業を行うことで、VMを利用することができるので、状況に応じて使い分けてください。

VMをダウンロードして利用する

以下の手順は、VirtualBoxの初期状態を仮定しています。他の利用などでさまざまな設定がある場合には、手順が異なるかもしれませんが、原則として、ホストオンリーネットワークを用意して、そのネットワークを使用してVMが起動するようにセットアップされていればOKです。ダウンロードしたVMは、macOSでもWindowsでも、プラットフォームに関係なく利用できます。ただし、FileMaker Serverの場合には、VMとホスト側のIPアドレスが以下で行われる設定と同一である必要があります。

VirtualBoxの準備

VirtualBoxで稼働させるゲストのネットワーク環境にはいくつかありますが、「ホストオンリーネットワーク」を利用します。この方法だと、ゲストOS自体は、ホストマシン外からのネットワークアクセスはできなくなります。また、ゲストOSからホストOSへの接続も可能です。作成されるVMは、ホストオンリーネットワークであることを前提としているので、それ以外の設定での利用では、VMの状況を確認するなどして、ご自分で対処する必要があります。

Windowsでは、「ホストオンリーネットワーク」が最初から1つ作成されています。確認のため、「ファイル」メニューから「環境設定」を選択して、ダイアログボックスの左側で「ネットワーク」を選択し、「ホストオンリーネットワーク」のタブを選択します。そこに最初から「VirtualBox Host-Only Ethernet Adapter」が存在することを確認してください。

Mac版では、「ホストオンリーネットワーク」は最初は1つもありません。「VirtualBox」メニューの「環境設定」を選択してダイアログボックスを表示します。ツールバーにある「ネットワーク」を選択します。さらに、「ホストオンリーネットワーク」のタブを選択します。ここに何もない場合には、リストの右側の3つあるアイコンの一番上をクリックして、項目を1つ作ります。作成されたままの状態で通常はかまいません。

ダウンロードした.ovaファイルの読み込み

WindowsおよびMacのいずれの場合でも、「ファイル」メニューから「仮想アプライアンスのインポート」を選択してください。そして、ダウンロードしたファイルを指定して読み込み、「VirtualBox マネージャー」の画面の左側に新しい項目ができていることを確認します。

INTER-Mediator-Server VMのネットワーク設定

「VirtualBox マネージャー」で、読み込んだINTER-Mediator-Server VMの項目を選択します。そして、ツールバーの「設定」アイコンをクリックします。すると、そのVirtual Machineの設定が画面が表示されます。

Windowsでは、画面左側のリストで「ネットワーク」を選択します、さらに「アダプター2」のタブを選択します。そして、「割り当て」のポップアップメニューで「ホストオンリーアダプター」を選択します。すると、「名前」のところは、自動的に、「ホストオンリーネットワーク」に定義された名前が見えています。そこまでを確認して、OKボタンをクリックします。

Macの場合は、ツールバーの「ネットワーク」を選択して、さらに「アダプター2」のタブを選択します。そして、「割り当て」のポップアップメニューで「ホストオンリーアダプター」を選択します。すると、「名前」のところは、自動的に、「ホストオンリーネットワーク」に定義された名前が見えています。そこまでを確認して、OKボタンをクリックします。

【追記1】同一ネットワーク内の別デバイスからアクセスする「ブリッジネットワークの設定」

「ホストオンリーネットワーク」ではVMホストが稼働しているマシンからしか接続できません。しかし、それではiOSやAndroidデバイスでの実機操作テストができず不便です。そこで、中・上級者向けの方法としてブリッジネットワークを設定する方法を解説します。
「VirtualBox」メニューの「環境設定」を選択してダイアログボックスを表示したあと、ツールバーにある「ネットワーク」を選択します。「Adapter 1(アダプター1)」の「Attached to:(割り当て)」を「Bridged Adapter」にセットします。

重要:既定ユーザーのパスワード変更

このようにセットしたあと、VirtualBox マネージャーでINTER-Mediator-Server VMの項目を選択して「起動」ボタンをクリックすると、黒いコンソール画面が現れます。
最初の起動時には既定値のログインID:developer、Password:im4135devでログインしますが、即座にしなければならないことがあります。パスワードの変更です。 ブリッジネットワークに設定したあと、VMが稼働しているマシンを不用意にカフェなどでWi-Fi接続して動作させると、同一ネットワーク内にいる他のユーザーからアクセスされる危険に晒されます。即座に独自のパスワードに変更した上で、IMをVM上で稼働させてください。
パスワードの変更はVMサーバー画面上で行います。まず、既定のログインID、パスワードでログインしたあと、passwdとタイプします。すると次の画面のようにこれまでのパスワードを要求されます。ただしくタイプできたら続いて新しいパスワードを入れるよう促されます。その際あまり短い文字列やローマ字のみのパスワードを入れると「パスワードが弱い」とはねられます。数字や記号混じりのパスワードをセットしてください。

パスワード変更が終わると、LAN内でどのようなIPアドレスが振られているか確認します。
ifconfig eth0
とタイプします。これでネットワークアダプターのEthernet port0の状況が分かります。 これを見ると「192.168.12.143」でINTER-Mediator Serverが公開されているのが分かります。このアドレスはあくまでも筆者の環境下での値ですので、このアドレスはあなたの使っているVM上に表示されたアドレスに読み替えて使ってください。

ここまでできたら、上記IPアドレスを手元のモバイル端末のWebブラウザのアドレスバーに入力してアクセスしてみてください。
ただし、冒頭の注意書きでも強調したようにご自身の管理下にある安全が確保されているネットワーク内でのみ使用するように心がけてください。
また、安全策としてIMのVM版にはVMが稼働している同一マシン上でしか設定ファイルエディタ、Pageエディタなどが動作しないように設定しています(下図)。学習や開発を行う場合はネットワーク上の他の機器からではなく、VMが動作しているマシン上で行ってください。


INTER-Mediator-Server VMの利用

以上の準備ができれば、VirtualBox マネージャーでINTER-Mediator-Server VMの項目を選択して「起動」ボタンをクリックします。黒いコンソール画面に文字が流れて起動します。ログインプロンプトが表示されます。Webブラウザから「http://192.168.56.101」に接続してください。すると、このINTER-Mediator-Server VMで利用出来る機能などなどが見えるページがあります。

「サンプルプログラム」のリンクからは、INTER-MediatorのSamplesフォルダの内容を即座に稼働させることができます。ホスト側でFileMaker Serverが稼働している場合、INTER-Mediatorのディストリビューションの中にあるdist-docs/TestDB.fmp12をサーバーに登録してXML共有ができる状態になっていれば、ゲストからホストに接続して動作するので、FileMaker Serverのサンプルも試せます。FileMaker Serverが稼働していない場合には、FileMaker Serverのサンプルはエラーが出ます。

また、Webブラウザ上で、定義ファイルとページファイルを修正して、実際にプログラムした結果を参照することもできます。たとえば、ページファイルのpage01.htmlを開くリンクだけでなく、page01.htmlを編集するリンクはHTMLエディタを表示します。また、def01.phpはpage01.htmlからSCRIPTタグで参照されている定義ファイルで、定義ファイルエディタを開いて修正もできるようになっています。

「http://192.168.56.101」に接続できない場合

INTER-Mediator-Server VMが起動しているのなら、ユーザ名「developer」、パスワード「im4135dev」でログインをしてみて、「ifconfig」コマンドを実行してください。そこに、INTER-Mediator-Server VMが現在使用しているIPアドレスが見えます。eth1と記述された塊の中の、inet addrの後のIPアドレスが、現在のゲストOSのIPアドレスです。ホスト側でWebブラウザを起動して、そのIPアドレスで接続をしてみてください。

それでも考えられるのは次のようなことです。

  • そもそも、VirtualBox自体がきちんと動かない状態である。Windowsで仮想化機能が無効になっている、Windows 10でHyper-Vを有効にしている、VMwareで稼働するWindowsの上でさらにINTER-Mediator-Server VMを使用しようとした、など。
  • ここまでに説明したネットワークの設定が正しく行われていない。あるいは、以前にその種の設定を独自に変更してしまっている。
  • なんらかの設定により、ホストからゲストへのIP接続ができない状態になっている。VirtualBoxでの設定次第で、あり得ると考えられます。

自分で作ったファイルを運用する

「http://192.168.56.101」に接続したページに、ログイン可能なアカウントが末尾に書かれています。それをご利用ください。SFTPでファイルの転送をするのが手軽かと思われます。また、INTER-Mediator-Server VM自体にログインをして、独自のデータベーススキーマを読み込ませるなどしてください。データベースの管理アカウントも、「http://192.168.56.101」に接続したページに記載しています。

INTER-Mediatorをアップデートする

ホストマシン上で、sshにより「192.168.56.101」に接続してください。ユーザー名は「developer」、パスワードは「im4135dev」です。例えば、macOSの場合は「ターミナル」アプリケーションで、「ssh developer@192.168.56.101」とコマンドを入れて、パスワードがその後にたずねられるので、キータイプをします。Windowsの場合は、TeraTermやPuTTY等のアプリケーションをご利用ください。

INTER-Mediator Ver.5.2(Ver.5.2-RC3を含む)以降のINTER-Mediator-Server VMの場合、以下のようにコマンドを入力します。

cd /var/www/html/INTER-Mediator
git pull origin stable

INTER-Mediator Ver.5.2-RC1およびそれ以前のINTER-Mediator-Server VMの場合、以下のようにコマンドを入力します。checkoutの後にスペースとドット(git checkout .)を入れるのを忘れないようにして下さい。

cd /var/www/html/INTER-Mediator
git checkout .
git pull origin stable

GitHubのリポジトリにあるINTER-Mediatorの最新安定版がVMに反映されます。なお、開発版の最新状況を反映させる場合には「git pull origin stable」の代わりに「git checkout master;git pull origin master」を実行します。現在のバージョンは、INTER-Mediator以下、dist-docs/build.shというスクリプトの最初の方のバージョン記述を確認してください。反映されている最終的なコミットは、git logやgit showコマンドで、現在のcommitの識別子(16進数の非常に長いコードで、commitの後に続けて記述されている)を得て、GitHubのリポジトリで探してください。なお、Ver.5.1以前の場合は、アクセス権の設定が若干違います。もともと用意されているページファイルと定義ファイルの編集には問題がありませんが、自分でファイルを追加したような場合などは、アクセス権について見直してください。

(参考)VMを自分で作成して起動する

INTER-Mediatorの配布ファイルの中には、VMを生成するためのスクリプト等が含まれています。最新のINTER-Mediatorが組み込まれたVMを作成するには、この方法が最適です。なお、標準環境のWindowsでは、Vagrantをインストールしてもスクリプトが稼働しないので、ご注意ください(別途Git for Windowsなどのソフトウェアをインストールしてsshを実行できる環境が必要です)。

  1. Vagrantをインストールします。こちらのページに移動して、使用するOSに対応したアプリケーションをダウンロードしてインストールします。単にインストールするだけで大丈夫です。
  2. INTER-Mediatorの最新版をcloneします。こちらのページににある「Clone in Desktop」ボタンを利用するのが手軽な方法です。
  3. macOSであればターミナルアプリケーションを起動し、cloneしたINTER-Mediatorフォルダ内のdist-docs/vm-for-trialフォルダに移動します。
  4. 「vagrant up」というコマンドを実行します。ダウンロードや作成処理に時間がかかります。概ね20分程度です。「INTER-Mediator-Server VM is ready.」と表示されたら準備完了です。
  5. なお、ダウンロード済みのboxファイルを削除する場合には「vagrant box remove INTER-Mediator-Server」というコマンドを実行します。